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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

 〝いつものように〟という部分だけが何故か強調されているような気がした。
 男は笑って首を振る。
「いや、今日は連れもいるし、これで失礼します」
「何だぁ、僕、宮女さまに宮殿のこととか、国王さまのこととか色々と訊こうと思ったのに」
 その無邪気な発言に、明姫はつい笑みを誘われる。
「マル君だったかしら。私は女官といっても、本当に下っ端の新米だから、国王さまのお顔なんて見たこともないし、恐らく、これからだって一度も見ることはないと思うわよ。ねえ、あなただって、国王殿下に直接、お話しできる機会は滅多にないでしょう?」

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