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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

 領議政が呆れたように鼻を鳴らした。
「いつまで若造のようなことを仰せなのでしょうね。殿下は確かにお若いが、あなたは世の並の若者とは立場が違うのですぞ。まあ、我々もせいぜい殿下のお好みに沿うような金淑媛のごとき楚々とした美女を探して参りましょう」
 領議政はそう言うと、一礼し余裕で出ていった。
 ユンは溜息をつくと、執務机に拳を打ちつけた。自分は本当に無力だ。今ほど自分が情けない男だと思ったことはかつてなかった。

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