身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離
明姫は小さな息を吐き出すと、空を見上げた。紫紺の夜空には冬の星々が煌めき、吐く息は白く儚く夜気に溶けてゆく。
都を出て、この郊外の寺に移ってはや数ヶ月が流れた。暦は代わり、新しい年になって半月になる。
空にはふっくらとした満月が切り紙細工を貼り付けたように浮かんでいる。
ユンの御子を身籠もったまま宮中を退出した明姫は去年の暮れ、残念ながら流産したということになった。まだお腹が目立ち始める前に、流産したということにしなければ、この度の懐妊がすべて偽りであったと発覚してしまうからだ。
都を出て、この郊外の寺に移ってはや数ヶ月が流れた。暦は代わり、新しい年になって半月になる。
空にはふっくらとした満月が切り紙細工を貼り付けたように浮かんでいる。
ユンの御子を身籠もったまま宮中を退出した明姫は去年の暮れ、残念ながら流産したということになった。まだお腹が目立ち始める前に、流産したということにしなければ、この度の懐妊がすべて偽りであったと発覚してしまうからだ。