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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

 今夜だけは祭りとあって、ふもとの村人たちが次々に参詣に来ては帰っていった。夜もかなり更けた今は、流石に詣でてくる人はいない。
 明姫は軒先に吊られた灯籠を眺め上げる。
 この場所が御仏に仕える僧侶たちの住まう寺であることを考えれば不謹慎かもしれないが、何とも艶めかしい眺めだ。どこまでも果てなく続く漆黒の闇の中、灯籠の焔がちらちらと風に揺れ、地面に揺れる影を落としている。

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