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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 もっとも、宦官である内官は妻帯はしても、子をなせない。ゆえに、養嗣子を迎えて家門を継がせることになる。黄内官もその例に洩れず、弟の子、即ち甥を養子として迎えていた。
 息子の維俊もまた、父親に負けず劣らずの忠臣で、ユンにまめやかに仕えている。既に六十歳近い黄内官はユンにとって祖父のようなものだが、息子の方は二十九歳と比較的歳も近く、臣下という枠を越えて友人に対するような気安さがあった。
 それから更に馬を駆ること、半刻余りで、漸く急な山道がなだらかな坂に変わる。ユンと黄維俊は流石に都からの長い道中に疲れを滲ませている馬を宥めながら、最後のひと走りを始めた。

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