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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 今、温嬪は難産の後の不調も漸く癒え、以前と同じような生活ができるまでに回復した。ユンとしては大妃(テービ)が提示した条件―明姫を側室として迎えたいがために、愛してもいない温嬪を義務的に抱いた。
 そのたった一度の契りで温嬪は懐妊したのだ。ユンには温嬪への負い目があった。それはけして愛情ではなかったけれど、自分の子を産み、更には子どもを失い正気を手放した女を捨て置くことはできない。
 心を傾けはできないけれど、せめてもの償いにと名医と呼ばれる医師を付け、生活に何一つ不自由のないように取りはからってやった。また、亡くなったとはいえ、王女の生母であるという功績を考えて、側室としては最高位の嬪としたのだ。

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