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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 焦燥に駆られていたユンが眼を瞠った。遠くから泣き声が聞こえてくる。
 まるですすりなくような声は明らかに女のものだ。じっと耳を傾けていると、心が哀しみの色に染まってしまうほどに切なくて哀しげな声には確かに聞き憶えがあった。
―明姫!? その声は明姫なのか?
 ユンは声を高くしたが、泣き声は途絶えることなく、返事もなかった。頼りなげでいながら、切々と魂を根底から揺さぶるような泣き声はずっと続いている。

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