テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 二人は毎夜のように共寝していたから、ユンは誰よりそのことをよく知っている。うなされ飛び起きた明姫を抱きしめ幼子のようにあやしてやったこともあるし、怯えて縋り付く彼女を腕に抱き、添い寝したこともある。
 居場所が宮殿から都より離れた山寺に変わったところで、その悪夢を見なくなるわけでもなかろう。むしろ、境遇の激変が余計に彼女を追いつめ悪しき夢を見させることだって考えられる。
 夢から覚めたばかりのユンはそのまま宮殿を飛び出しそうな勢いであったらしい。寝所の外に控えていた黄内官が慌てて入ってきた。
―殿下、どうか落ち着ついて下さいませ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ