テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 床の上に身を起こしたユンはうわごとのように〝明姫〟と呟いていた。
―爺や、明姫が泣いている。とても哀しげに泣いているんだ。
 その時、当事者であるユンは気づかなかったが、黄内官は一瞬、ついに最愛の女性と引き離された王が狂ったのかと危ぶんだほどだった。
 元々、ユンは明姫を熱愛していた。しかし、周囲との軋轢に屈した形で、明姫を心ならずも廃妃とし宮殿を追放したのだ。この二年間、ひたすら明姫だけを想い孤独に堪えてきた王の心中を知る者は黄内官だけだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ