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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 この夜を境に、ユンはどうしても一度、勧玉寺に行くと言い出してきかなくなった。むろん、黄内官は諫めたものの、あの夜の王の錯乱状態を思うにつけ、このまま王を止めるのが果たして本当に良いのかどうかも判断がつきかねた。
 老齢の身では都から離れた観玉寺まで一日で往復するのは難しい。ゆえに、甥の維俊だけを伴につけて王の観玉寺行きを認めたのである。
 観玉寺は都漢陽(ハニャン)から遠い。とはいっても、馬を使えば一日で行って帰られない距離ではない。なので、維俊にはくれぐれも王の安全と人眼につかないことを言い含め、必ず一日の中に宮殿に戻ってくるようにと伝えた。

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