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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 僧が明姫を見つめる熱い視線には明らかに若い女への憧憬と好意が含まれていたが、明姫の方はどうやら気づいていないようだ。
 あれほど女らしく艶やかな色気を放つようになっても、どうやら中身は二年前の無垢な少女のままらしい。自分がどれほど魅力的で、どれだけ男心を惑わすかを考えてみたこともない。
 もっとも、そこが明姫の最大の魅力なのだとユンは思う。自分の美貌を知り尽くしている女ほど鼻持ちならないものはない。また、男の眼を必要以上に意識してふるまう女もユンは苦手だ。実のところ、後宮に美しい女はたくさんいるが、皆が皆、そういったいささか自意識過剰気味な女ばかりで閉口している。

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