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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 二年も逢わないでいたのに、明姫のそういった明姫らしい部分は少しも変わっていない。ユンはそれが嬉しかった。
「はい、川まで行っていました」
 明姫はごく自然な態度で若い僧に接している。かつては王の妃であったと感じさせるような素振りは何一つない。いかにも彼女らしい謙虚さだと好感は持てるが、ユンにはいささか淋しくもあった。
 今の明姫を見て、誰がかつて国王の寵愛を一身に集めた側室だと思うだろう? 
「淑媛さまおん自らがお洗濯など。そのようなことは下働きの者が致しますのに」
 僧は真顔で首を振るが、明姫は相変わらず魅力的な笑顔を僧に向けている。

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