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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

「ふぅ、この重さは少し腰に来るわね」
 明姫は独りごちると、握り拳でトントンと腰を叩いた。
「痛―」
 強く叩きすぎたのか、腰に痛みが走った。しかし、この痛みは何も大根を運んだからではない。数日前の夜を思い出し、明姫は思わず顔を赤らめた。
 あの夜、信じられないことにユン―国王殿下がこの山上の寺までやって来られたのだ。二年ぶりの再会は最初は夢かと眼を疑ってしまった。
 逢いたいと切ないほどに願い続けているから、御仏が一瞬見せて下された幻かと。だが、ユンは幻影ではなく、正真正銘の彼だった。

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