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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

「大丈夫、心配しないで下さい。私は別に、あなたをどうこうしようなんて考えてるわけではないんです。ただね。私は元々、口減らしのために親に出家させられました。御仏に仕える身で恥知らずな言いようですが、けして自分から望んで入った道ではなかった。寺に入れられた最初は、何度も脱走しようとしては失敗し、慈慶さまにきついお叱りを受けました。今でもね、時々思うんですよ。もし世捨て人になどなっていなかったら、自分にはもっと別の生き方があったんじゃないかってね」
 慈鎮が明姫を見つめた。

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