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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

「やっばり、淑媛さまはおかしいよな」
「そうみたいだね」
 二人は子どもなりに明姫の身に起きつつある変化を悟っているのだった。
 明姫が歩いていく中に、前方から近づいてくる二人連れの片割れ―女の方が走り出した。何を急いでいるのか、まろぶように一目散に駆けてくる。明姫が眼を丸くしていると、女が明姫に取り縋った。
「淑媛さま」
 女が外套を脱ぎ棄てた。刹那、明姫は声を上げた。
「ヒャンダン!」
「お元気でいらっしゃいましたか、淑媛さま」

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