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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

「では、何故、泣くの?」
 困惑気味の明姫に、ヒャンダンは訴えた。
「淑媛さまのことです」
「私?」
 自分のことで、ヒャンダンが泣くようなことがあるのだろうか。
「お優しい淑媛さま。本当に二年間もこんな山寺でご苦労なさっていても、ちっともお変わりないのですね。ご自分がお辛い立場にいらっしゃるのに、私のことまで気に掛けて下さる。何故、こんなにお優しい淑媛さまが廃されて流罪も同然のこのような扱いを受けなければならないのか、私には納得がいきません」
 明姫は胸が熱くなった。ヒャンダンは他ならぬ自分のことで憤ってくれているのだ。

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