
ヴァンパイアの誘惑<短編集>
第1章 俺様ヴァンパイアの誘惑
助けてっ!!
そう心の中で叫ぶと、私を高速していた手が解けた。
見るとそこには、男の人の手首を締め付ける黒木くんの姿。
「手、折れたんじゃなかったのか?」
ドスのきいた低い声で男の人を睨む黒木くん。
「っ!…んだよ」
男の人達はそそくさと逃げていった。
すごいです…
黒木くん、一瞬で…
かっこいい姿に見惚れていると黒木くんは私に顔を近付けた。
ドキンッ
心臓が跳ね上がる。
「こんな時間に何してる、夜1人で出歩くなって言ったよなぁ?」
「うっ…えっと…こ、これには深い事情がっ!!」
「俺には、深い事情とやらがあるとは思えねぇ…」
そう言って黒木くんは私が持っていたコンビニの袋を取り上げた。
そこからはうっすらとアイスが透けて見えていた。
こ、これはもう…言い訳できません…
