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わすれない

第2章 それぞれの傷

看護師さんはバインダーに書き込みながらカーテンを閉め始めた。



「あ、あのっ…。」



「な~に? あっ、あなたはそとでてて貰えます?肩の様子みますからね。」


看護師が男に手でしっしっと合図する。

男は あっ と声をあげて部屋の外に出ていこうとした。

「美咲、俺 そとにいるわ~」


「…け 圭介!」



私は起き上がろうとした。
「いょっ… 痛っー!!」


腕にちからを入れたとたん激痛がはしった。

「あっ!美咲さん無理しないで? あなたの肩ヒビ入ってるの。骨折まではいかないんだけどね。」


看護師が私の体を起こしながら言った。


「あ、カーテンの外なら部屋の中でも大丈夫ですよ~。」

看護師さんはカーテンから顔を出して圭介に言った。

わかりました とその場にとどまった男は少しニヤけていた…。

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