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苦しくなって胸を押さえながら叫んだ。男は目を見開きながらも真面目な顔になっていた。



叫んだ私はさらに苦しくなって息が上がっていた。ハァハァ…と肩で呼吸する私を男は抱きしめ背中を擦ってくれた。

｢――悪い。苦しませるつもりはなかった。｣



男は私が落ち着くまでただ静かに待っていてくれた。


だんだんと落ち着いてきた私はいまさら抱きしめられている事に気付き男を どんっ と押し退けた。


｢落ち着いたかい？とりあえずここは寒いから車に乗りなよ。君がよければ家まで送るから。｣

男は今までのちゃらけた感じではなく、紳士的に接しはじめた。


｢　駅まででいい。電車で帰るから。駅までお願いします。｣


――家に帰りたくない。ただそれだけだった。男はまたドアを開けてくれた。今度は静かに乗り込む私を見て微笑んだ。

ドアを閉めて運転席に回り男も乗り込む。男の車は少し古いが私の好きなクラウンだった。



｢クラウンかぁ…。｣



聞こえないくらいの小さな声でボソッと呟いた。
なのに、男には聞こえていた。

｢こいつの名前しってんだ？詳しいね。女子高生は車持ちの男じゃないと彼氏にしないってのは本当だったんだ～。｣


｢別に。彼氏は好きにならなきゃ作らないし、それにさっきから勘違いしてない？？｣