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わすれない

第2章 それぞれの傷

「美咲さん落ち着いて! 大丈夫よ。」


女の人の声がしてはっとした。



「えっ…… あ…………あれ?」


目の前には看護師さんが心配そうにあたしを覗いている。



「大丈夫?落ち着いてきたかしら。なにか飲み物を……!」


私を抱きしめてくれていた、看護師さんが他の看護師さんに指示していた。傍らには片山さんも心配そうにこちらを見ている。


「あ、あの 私いったい……。」



自分は何が起きたのかさっぱりだった。たしか、圭介がきて……あっ……。



「私、また発狂したんですね………。」



看護師さんに言うと、大丈夫よ、いまはゆっくり休みましょう。としか言われなかった。




片山さんが、飲み物をもって静かに近づいてきた。


「美咲ちゃん、温かいアールグレイよ。きっと落ち着くわ。ゆっくり飲んでね?」




ニコッと微笑みながらあたしにカップを渡してくるれた。片山さんがそばに立っていると後の看護師さんたちは血圧を計ったりしたあと部屋から出ていった。

「さっき、鈴本さんが居たけど何か言われたの?もし会うのが嫌なら今日は帰ってもらおうか……?」


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