テキストサイズ

わすれない

第2章 それぞれの傷

「……うん。ごめん。」



うつむきながら圭介に謝った。圭介は ん、と言っただけで、また無言になった。



私たちはなにも話さず、ただ窓の外を眺めていた。



しばらくすると、看護師さんがきて部屋に戻りましょうと言われた。


圭介も一緒にきてくれるのかと思ったけど、俺はこのままもう少しいると言って動かなかった。


―――怒っちゃったのかな…。



部屋に戻り、ベッドにはいって布団をかぶった。

さっきの圭介の表情が頭から離れなくて…‥。いつの間にか涙がでていた。


―――あたし、なんでないてんの…‥?




このときの私には涙の意味がわからなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ