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わすれない

第2章 それぞれの傷

どれくらいたったんだろう。美咲は布団から少しだけ顔を出して時計を見ようとした。部屋は電気がついていて、テーブルの上には食事がおいてあった。



「……やっとおきたか。」



その声にビクッとしてまた布団をかぶった。


「おいっ!なんでまたかぶんだよ?!飯食えっ!」


そう言われると同時に布団をひっぺがえされた。


「きゃぁぁぁっ!」

びっくりして思わず声を出してしまい、慌てて口を押さえた。圭介は布団を端のほうに投げてあたしの手を掴んで起こした。





「なにが、きゃぁっだよ。まったく。飯食わねぇと体なおんねーぞ。」


そう言いながら茶碗を持ち箸でご飯を詰まんであたしの口に放り込んだ。


「やっ……んぐっ。」


急にご飯を口に入れられたあたしは喋れず、仕方なくご飯を飲み込んだ。



「け 圭介、あたし自分で食べれるから。」


飲み込んだあと、すぐに言ったけど圭介はどんどん口に放り込んできた。



「なぁ、美咲。お前はどんな傷を背負ってんだ?」

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