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クリスマスに奇跡を

第3章 Happy New Year

戸惑いを隠せない。
悟が初めて家に来る。
否、それよりも俺は許されたのか?
許される筈は無いと思っていただけに浮かれてしまう。
でも悟からの申し出なのは紛れもない事実。
本当にそれでいいのだろうか?


電話を切ってからの俺は掃除機をかけ、布団を干し、シーツを真新しいのに交換した。
いくら悟からの誘いであっても許されたとは言えない。
・・・何を期待しているのだ。
そう思い、一度は片付けかけた手を止め右往左往する。
いや、でも・・・悟が初めて家に来るのだ。
頭の中で何度も葛藤が繰り広げられていた。


数時間後、両手に抱えきれんばかりの酒を持った悟が部屋へと足を踏み入れた。
「お、おじゃま・・・します。」
何だかそわそわと落ち着かない雰囲気の悟が妙に気になった。


だが、以外にも本数を空けて行く悟に圧倒されながら、酒の力も伴ってか、次第に二人の緊張が解け始めた。
「このチューハイ美味しい!伸のは?」
「あぁ、これも中々だな。」
会話も弾み、少しづつ二人の距離も縮まっていった。


「悟って結構いける口なんだな」
「そ、そんなことないよ」
酔いでピンクに染まった頬が妙に色っぽい。
「俺・・・ちょっと、ヤバイかも」
酒には弱くない方だと思っていたが、ここ最近の睡眠不足とハイペースの飲酒に俺の頭は重くなっていった。


「・・・伸?」
「ん?・・・」
うな垂れていた俺の唇に柔らかい感触が押しつけられた。
虚ろぎ始めていた瞳が勢いよく開かれる。
一瞬、何が起こったのか解らず脳が霞んだ。


「さっ・・・悟!!」
口元を隠し、ザザザと慌てたように俺は後ずさった。
望んでいなかった訳ではないが、"まさか"と心臓が破裂しそうなほどの鼓動を打っていた。








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