Sky Blue
第3章 出逢い
「おっと、そろそろ授業が本当に始まるな。九条も早く教室へ行った方がいい。」
もう一度お礼と謝罪の言葉を残し、軽く頭を下げ、泉は背を向けた。
「九条!!結局長尾もお前が羨ましくて嫉妬しているようなもんだ。
勘弁してやれ」
何をどう勘弁するのだろうか、講師は無責任なことを言う。
長尾は悪いとさえ思っていないだろう…
もう関わりたくなかった。これ以上巻き込まれるのはそれこそ勘弁してほしい。
6時から始まる授業は9時半まで続く。だが授業が長引き10時を回るなんてよくあることだった。試験前は11時近くなることだってある。
だがこの日は予定より30分前に終わるというごく稀な日で、偶にはゆっくり休め、などと言う講師に喜ぶ者が殆どだった。いつもなら、しっかり最後までやって欲しいと抗議する長尾もこの日ばかりは無言で教室を後にした。
「九条もちゃんと休めよ」
講師の気遣いに気が付いたが、こんなに早く帰ったら必ず理由を聞かれる。普段遊びに出掛けない泉は時間を潰す方法も場所も、ましてその相手なんている筈もなかった。図書館だって9時に閉館だ。
いつもより早く終わるなんて、有難迷惑という言葉が正にぴったりだ。
歩き慣れた道を1人重い足取りで駅へ向かう。
予備校は駅のすぐ近くにある為徒歩2~3分の距離だ。いつもなかなか来ない電車も、どういう訳か今日に限っては既に扉を開けて待っている。
一瞬乗り過ごそうかとも思ったが、予備校の者がチラホラいる駅内、また先程の騒ぎについて絡まれるのを嫌がり泉は諦め電車に乗った。
好奇心でも心配でも理由なんてどちらでもいい。絡まれること自体迷惑だった。授業が終わった後、何人かの女子に声を掛けられたが、適当に相槌を打つので精一杯だった。
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