Sky Blue
第3章 出逢い
「な、なんで知って!!」
「さっき一緒にいた人がそう呼んでたから…」
平然とそう答える泉を焦って否定する。
「……オレ苗字が名取だからアイツらふざけてそう呼んでるだけだって。
酷い時は納豆とか言われるんだからな…」
ふて腐れたように“ナット”になった理由を話す。
「納豆は嫌だな」
「だろ~~?」
“名取 永”と身分証に明記されたこの少年。夏服の為どこの高校か一見判りにくいが、左胸の校章で恒蘭学園の生徒だと悟る。蘭の花がモチーフになっているのが特徴的で判り易い。
多少なら制服を着崩してもいいらしくブレザーにも関わらずノーネクタイだ。半袖のカッターにクリーム色のベストを重ね着し、チェックのズボンは少し青みがかった深緑色でアクセなどは何も付けていない。髪は泉より少し長めだか、染められていて光に当たると焦げ茶が明るく見える。
笑うと人懐っこく見え、幾分幼さも増す表情が印象的な少年だった。
何気なく交わす会話、笑いも入り混じり、泉にとってそれが何よりも新鮮でならなかった。
自分のことを知らない。
それだけでもう、十分だ。本当はずっと思っていたのかもしれない。誰もが知る自分から解放されたい。そして自分自身で作り上げた“九条 泉”からも――――――。
「なぁ、どうしたんだよそれっ」
急に真面目な表情に戻り泉の首筋を指差す。
「え……」
「あぁ触んなっ!!血ぃついてる。ってか気付いてねぇの?」
一瞬混乱の色を見せた泉だが、すぐ思い当たる節を見つけた。
長尾だ………。
その傷は、胸ぐらを捕まれた時爪が当たり出来たものだった。
予備校で気付かれなかったのは、ネクタイをしっかり締めていたからだろう。
だが今の泉の胸元は、鎖骨が顔を覗かせている。
駅に差し掛かる道で苦しくない程度にネクタイを緩めたことを思い出す。これも同様、普段なら絶対しない行動だった。
「襟も少し汚れてるし、ボタンも危ないぞ?」
そう言われ、電車の窓に自分の姿を映し確認する。近寄って見ないと判らないが、確かにこの少年の言う通りだった。
講師が駆けつけた時、急ぐように身なりを整えたのだ。講師だって気付く筈もない。
「さっき一緒にいた人がそう呼んでたから…」
平然とそう答える泉を焦って否定する。
「……オレ苗字が名取だからアイツらふざけてそう呼んでるだけだって。
酷い時は納豆とか言われるんだからな…」
ふて腐れたように“ナット”になった理由を話す。
「納豆は嫌だな」
「だろ~~?」
“名取 永”と身分証に明記されたこの少年。夏服の為どこの高校か一見判りにくいが、左胸の校章で恒蘭学園の生徒だと悟る。蘭の花がモチーフになっているのが特徴的で判り易い。
多少なら制服を着崩してもいいらしくブレザーにも関わらずノーネクタイだ。半袖のカッターにクリーム色のベストを重ね着し、チェックのズボンは少し青みがかった深緑色でアクセなどは何も付けていない。髪は泉より少し長めだか、染められていて光に当たると焦げ茶が明るく見える。
笑うと人懐っこく見え、幾分幼さも増す表情が印象的な少年だった。
何気なく交わす会話、笑いも入り混じり、泉にとってそれが何よりも新鮮でならなかった。
自分のことを知らない。
それだけでもう、十分だ。本当はずっと思っていたのかもしれない。誰もが知る自分から解放されたい。そして自分自身で作り上げた“九条 泉”からも――――――。
「なぁ、どうしたんだよそれっ」
急に真面目な表情に戻り泉の首筋を指差す。
「え……」
「あぁ触んなっ!!血ぃついてる。ってか気付いてねぇの?」
一瞬混乱の色を見せた泉だが、すぐ思い当たる節を見つけた。
長尾だ………。
その傷は、胸ぐらを捕まれた時爪が当たり出来たものだった。
予備校で気付かれなかったのは、ネクタイをしっかり締めていたからだろう。
だが今の泉の胸元は、鎖骨が顔を覗かせている。
駅に差し掛かる道で苦しくない程度にネクタイを緩めたことを思い出す。これも同様、普段なら絶対しない行動だった。
「襟も少し汚れてるし、ボタンも危ないぞ?」
そう言われ、電車の窓に自分の姿を映し確認する。近寄って見ないと判らないが、確かにこの少年の言う通りだった。
講師が駆けつけた時、急ぐように身なりを整えたのだ。講師だって気付く筈もない。
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