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Sky Blue

第4章 戸惑い

「これ使って」
そう言って差し出されたのはバスタオルだ。

流石にシャワーまで使う気になんてなれない、ただこの襟に付いた血を洗い落とし、外れかけたボタンを付け直したいだけだ。

それなのに何でシャワー……?


断ろうと口からでた言葉は、少年によって遮られた。


「ここまで来て何遠慮してんの。入れよ」


まるで我が儘を言う子どもを窘めるような言い方だ。

腕を引かれ、風呂場まで案内されて、ゆっくりして来ていいからとドアを閉められた。


どうしてこんなに強引なんだろうか……



人の家でシャワーを浴びるなんて初めてで戸惑ってしまう。
断ることが出来ないのは酷く心配されているようなあの瞳のせいだ………―――


必要以上に労られているような………

壊れ物を扱うかのように泉に接する。

諦めて服を脱ぎ始めた。すると顔を上げた瞬間、鏡に映る自分の傷口が眼に入った。鏡に近づいてみると思ったより爪の跡が深い事に気付く。引っ掻いたような跡が2、3本の赤い線となり、首の根元から鎖骨にかけて浮き出ている。瘡蓋の一歩手前といったところだ。

普通にしている分には全くと言っていいほど何も感じないが、暖かいお湯がかかった途端ズキズキと、自己主張し始めた。
予想してなかっただけに、思わず眉間にしわを寄せた。



「オレの服置いとくから上がったらソレ着て。」


脱衣所からの声に、こんな痛みに気を取られている場合じゃないと思い直す。会って間もない人の家に来てシャワーを借りている図々しさを改めて感じずにはいられなかった。幸い少し経つと傷も慣れてきたのかお湯が当たっても気にならなくなってくる。


泉は急いでシャワーを終わらせ、手渡されたバスタオル片手に着替えようと制服に手を伸ばす。すると、さっきまで身に付けていた筈の血の付いたシャツが消えていた。その代わりとでも言うように、黒いスポーツ用のスウェットが上下、ご丁寧に置かれてある。

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