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Sky Blue

第4章 戸惑い

シャワーから出ると彼の姿は部屋のどこにも無かった。玄関まで行くとやはり、彼の靴がなくなっていた。


しんと、静まり返った部屋……―――


床にはさっきまで少年が持っていたカバンが無造作に置かれてあることからあまり遠くへは行ってないことが判るが、見ず知らずの他人を自分の家に残して何時間も出掛けられる筈がない。
濡れた髪からこぼれ落ちた雫が頬を伝う。服を濡らす前に慌ててタオルを押し当てた。



さっきはあまり見る余裕なんてなかったが、今こうして部屋を見てみると、汚いからなんて言ったのは散らかっているという意味ではなく、使ってないということだと気付く。

ベッドすらあまり乱れていないようだ。このマンションは部屋の仕切りがない造りになっている為、台所も寝室も同じ空間にある。



自分と同年代なのに一人暮らしなんて何かそれなりの理由があるのだろうか………




――――ガチャッ


そんなことを考えていると、玄関の開く音が後ろから聞こえた。



「アレっ?もう出たの?

! ってか着替えオレの服使ってくれて良かったのに」

泉の制服姿を眼にし少し驚いたような口調だ。

「中のシャツは使わせて貰ったんだ、ありがとう………」


「いーって。

それよりシャツなんだけど何とか血ぃ落ちたから」

そう言いながら持っていた手提げ袋から泉のシャツを取り出す。


「オレん家洗濯機ねーから近くのコインランドリー行って来たんだ。」


泉がシャワーを使っている間彼はわざわざコインランドリーまで、シャツの汚れを落としに行ってくれていたのだ。



泉は言葉を失い、信じられないといった表情で彼を見つめた。



「それで悪いんだけどボタン洗濯中に取れたらヤバいと思って、外したら付け方判んねぇや…」

ポケットからボタンを出し泉に見せる。

「家庭科の教科書見れば判んのかもんないけど、オレ教科書全部学校だしな…

あ、でも高校生の教科書に流石にボタンの付け方なんて載ってないか」


少しクスリと笑った表情は、行って来てやったんだ、などと恩を押し付けるような雰囲気は微塵も感じられない。

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