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Sky Blue

第6章 ガラスザイク

「人を好きになるってどういうことなんだろうな…」



カズが“名取”と苗字で呼んだのは初対面の時と後は数えられるくらいしかない。そう呼ぶ時は決まって真剣な時だけだ。







「……判らない」

永斗は正直に答えた。

無責任に肯定も出来ないし、無意味に否定も出来ない。





「………でも


想うのは自由だ……」


永斗が言えるのはこれだけだった。


この時ふと、無意識のうちにイズミだったらどう答えるかな…などという考えが頭をよぎったことを永斗は気にも留めなかった。









「……………そだな」



恋について、恋愛についての正論なんてきっとどこにもないだろう。


結局最後は自分次第だ。

「らしくねーな、カズ。」

「―――悪ぃ」

足元に視線を落とすカズを見遣ると、まだ何かを考え込んでいるようだ。

「確かオレらの1コ上だったよな?
その幼馴染の……ハルキさんだっけ?」

無言で頷く。
その表情はどこか寂しそうで、切なげだった。




「好きなんだ?」






「――――――なっ!?

べ、別に好きなんかじゃねぇよ!あんなヤツ!!」

ガタン、という椅子が倒れる音とカズの声が教室に響き一瞬静まり返る。

冗談で言ったつもりだったのに、まさかここまで判り易く反応されるとは――。

「あ、」

カズは恥ずかしそうに、倒れた椅子を起こし黙ったまま腰掛ける。それと同時に睨み付けられたが…

「笑ってんじゃねーよ。」

教室は何事もなかったかのように先程の騒ぎを取り戻している。


「笑ってねぇよ」

「顔ニヤケてんだよ」

カズの反応が可笑しくて表情を緩めただけだったのが、カズからしてみると、そう見れたのだろう。




だから聞いたのだ。

きっと、

“どう思う?”だなんて
カズにしては珍しく、弱気な発言。

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