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Sky Blue

第7章 解放区

無意識だった…

「……っ、イズ…」
「名取、早くしろ!暑いのはみんな同じなんだ」

掻き消された永斗の声。
僅かに、泉が反応を示したのは気のせいだろうか………

見失ってしまう。

心が騒つくが、事を急いている教師に逆らうことは叶わない。

願ってもないこの展開に普段はダラダラ動く生徒達もこの時ばかりは、暑さから解放されたい一心かカメラマンの言う通りに動いている。

「ねぇカズは?」

カズでなく永斗が来たことが不満なのか、この期に及んで、文句を垂れる学級委員の女子。


「恋人と電話中」


素っ気なく答えると、彼女はショックを受けたのか黙ってしまった。あながち嘘ではないし、先程からの態度に苛ついていた永斗は後悔など感じる余裕などない。



それよりも気になって仕方無い。


電話を終えたカズも写真の列に加わり、やっとの思いで写真撮影を終わらせることが出来た。


待ち時間あんなにダルそうな顔をしていた女子達も撮影の時ばかりは、恰も楽しいです、と言わんばかりの笑顔を作れることに多少なりとも感心してしまう。


目的が終わり、永斗達は昼食を摂る為ホテルに戻らなければならない。バス乗り場までの道のりは少しあるが先程とは打って変わって賑やかになる生徒達。その中で永斗はその場から離れることが出来ずにいた。


この機会を逃してしまえば次は何時、何処で会えるかなんて判らないどころか、会えるか保証などどこにもない。そう思うのと同時に駆け出していた。もうこの時ばかりは喉が渇いたとか、お腹空いたとか、そんなことはどうでもよく頭の片隅にすらなかった。




永斗が駆けつけると既に、見学場所に移動し終えた後のようで目的の人物の姿はない。


何とも言えない後悔の念が押し寄せる。



「イズミ……」

呟くようにその名を口にした。




「やっぱり」

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