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Sky Blue

第7章 解放区

海の近くまで走り、岩に凭れ掛かる。肩で呼吸をする二人は会話をする余裕なんて全くない。
更に今まで忘れていた空腹などが一気に押し寄せる。泉の様子を伺うと永斗同様膝に手をあて、呼吸を整えているようだ。
顔を上げた泉と眼が合う。

ふと、胸元に目がいった。


「取れよソレ」


手を伸ばし、泉のネクタイを緩めてやる。

「見てるこっちが苦しくなる」

当惑している泉に笑いかける。
すると泉の表情から固く張り詰めていた空気が薄らいだのを見た。


「相変わらず…だな」

「何が?

ってか喉渇かねぇ?」

当たりを見渡しても自動販売機はないが、近くに飲食店を見つけた。

「なぁ、あの店入ろうぜ。


………―――どうする?イズミ」

真剣な表情で問う。
これからしようとしていることは、簡単に言えばサボりだ。
しかし、今は修学旅行中で自由行動時間でもない。団体行動を乱し、教師は勿論みんなに迷惑を掛けることは目に見えている。授業をサボるのとは訳が違うのだ。況して知らない土地での単独行動。

だからこそイズミの意志を確認したかった。

「…今ならまだ間に合うぞ…?今なら、戻れる。」

「………」




身体を焦がす程の陽の光は永斗の背後から照りつけ、あまりの眩しさに泉は片手で光を遮り眼を細める。


この時オレは柄にもなく緊張していたような気がする。
イズミが下す選択の結果を待ちながら………

逆光で泉の方からは自分の顔が見えていないことに永斗は幾らか安心を覚えた。


「覚悟か有るなら、


来いよイズミ、」

永斗は店へと続く階段を数段上がり、振り向いて手を差し伸べた。

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