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Sky Blue

第7章 解放区

あまりの気持ちよさに寝入ってしまったことに気付く。


―――イズミっ!?


もしかしたら、もういないのではないかという焦りが沸き起こったが、その心配は杞憂に終わった。


泉はちゃんと、永斗の隣にいた。


眸を閉じ、無防備な表情で寝息を立てている。
ほっと胸をなで下ろし時計に目を遣ると、時刻は既に5時を回っていた。夏は日が長い為時間に関する観念が少し狂ってしまう。



起こさないように寝顔を覗き込む。疲れているのか起きる気配はない。


寝ていても、綺麗な顔立ちをしていることが判るのだから大したものだ。



捕らわれてしまう………


永斗は優しい夕陽に照らされた泉の頬に触れようとした。


―――その時



「名取っっ!!!」


自分の名を呼ぶ教師の声に、我に返る。





今、何をしようとしてた…――――?



「今まで何やってたんだ!?」


数人の教師が二人の元へ早足で近付いてくる。



心臓が早鐘を打つ。




覚束ない足で立ち上がった永斗の肩をそっと支えたのは、泉だった。



「! イ……」
「申し訳有りませんでした。」

そう言って泉は駆け寄って来た教師に頭を下げる。


そんな泉を見て戸惑っていた教師が何かを思い出したように叫んだ。


「あなた、あの九条くんじゃないの!?」

「そうだ、青南高校の九条 泉くんだろう?」


“九条 泉”永斗は混乱する自分を止めることが出来なかった。

誰もが一度は耳にする名前、きっと知らない者などいないだろう……


永斗は不安げに泉を見つめるが泉は永斗と目を合わせようとはしない。泉の眼は前にいる数人の教師をしっかりと見据えていた―――。
永斗の知らない凜とした空気を纏って……



「はい、そうです」



どうして気が付かなかったのだろう……



こんなにも判り易く合図が出ていたのに……



泉の表情や仕草に気を取られていてそんなこと全く考えなかった。

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