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赤い花~情欲の檻の中で~

第2章 MemoriesI

―定年まで会社勤めをするのも何だか、味気なく思えてね。十年早く退職して、それまでに貯めた金と退職金を使って、この店を開いたんですよ。別に儲けようなんて気はないから、好きなときに店を開けて、買い付けに行くときは予告なしに店を閉めて、ブラジルとかアフリカとか、色んな国を回ってる。昔の同僚に言わせれば、お気楽な隠居道楽だなってことらしいですよ。
 と、静かに笑っていた。

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