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赤い花~情欲の檻の中で~

第3章 MemoriesⅡ

 それらの事実は、祥吾から聞いたものである。こういう話を美華子に話して聞かせるということ自体がはや、祥吾という男の人間性を疑わしいものに思わせるのだが、当時、美華子には、自分は祥吾にとって特別な存在だからこそ、彼が正直にすべてを打ち明けてくれたのだと良い方に解釈した。
 人とは何でも自分の都合の良い方に理解したがる生きものである。その方が気持ちも楽だからだ。

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