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妹えっち!

第12章 翳り







 頭にゲンコツ食らった
 涙が出るくらい痛かった



「へへへ…」
「なに笑ってんだよ」



 お兄ちゃんが普通に帰ってきた
 夜遊びにせず、家にいる
 ご飯が一人じゃない
 無視したりしない
 嬉しくて顔がにやけてしまう

 バカやるのでさえ嬉しい
 笑われるかもしれないけど、こうやって自然な感じがすごく嬉しい



「重大な事実があるんだけど」
「あん?なんだよ」
「買いに行かないと材料が足りない
お兄ちゃんの分ないよ」
「………」



 お兄ちゃんが無言で止まっている
 ぷくくっ…なんか楽しい



「俺、今バイトから帰ってきたばっかで疲れてんだけど」
「ご飯なしって事でいいんだよね?」
「………行ってくる」



 お兄ちゃんはとりあえず洗面所に顔を洗いに行って、それからだるそうな感じで玄関に向かう



「あっ!」



 私はあたかも本当にそうであるような調子で玄関に走る



「あ?なんだよ?」
「私も行く」
「はぁ?」
「買い忘れたものあった」



 お兄ちゃんがジロジロ見てくる
 …なに?バレた?

 なんだろ、カッコ?
 そういや着替えてない



「…勝手にしろ」
「この際だからお米買おう10キロ
お兄ちゃん愛してる」
「俺昨日徹夜してるんだけど
鬼かお前?」



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