妹えっち!
第12章 翳り
駅に向かって歩く
近づくにつれ人が多くなる
さり気なく車道側を確保して
何も言わず気遣ってくれる
そうやってまた…
お兄ちゃんがモテるのわかる
エロ魔神だけど女の子は女の子扱いが嬉しいって思うだろう
そうやって女の子をたぶらかしてえっちな毒牙にかけて、お兄ちゃんは本当に最低としか言いようがない
今もケータイ操作して女の子を釣ろうとしてるんじゃないの?
にやにやしちゃって…
まさかと思うけどエロ動画でも見てるんじゃないの?
「…最低」
「あ?なんか言ったか」
大通りの十字路に出る
信号の前で止まる
「なぁ…あれって
お前の彼氏じゃないのか」
「えっ?」
遠いが、目をこらす
対角線上の先、確かに彼氏の都築哲平その人がいた
「ホントだ…なんだろ
哲平の家駅違うのに」
「女に会いに行くんじゃねぇの?」
「なっ…!?
お兄ちゃんと一緒にしないでよ!
哲平は誠実な人だもん!
私が彼女だもん!」
「お前わかってねぇな
いいコちゃんが一番危ねーんだよ
誰にでもいい顔してたら要注意だぞ?」
哲平は誰にでも優しい
だからみんなに好かれてる
分け隔てなく接してる
私以外の女子にも
それで妬くこともあるけど
でもそれは哲平の性格で美点で
何も心配することなんか…
―…要注意だぞ?
お兄ちゃんの言葉がぐるぐる回る
私はケータイを取り出して
急ぎメールを送った
信じてる、信じてるけど
なぜだか祈るような想いだった