妹えっち!
第2章 予想外の攻撃性
璃乃は頭から雑巾を取ると
一番近かった男子の顔に押しつけて拭いてやった
掃除の分担の都合上、二班の人数しかいなかったが、璃乃は男女問わず顔面に雑巾を食らわしてやった
女子は泣いていた
掴みかかってきた男子は
大会を優勝する腕前の合気道で簡単に床にひっくり返した
璃乃は先生に呼び出された
泣く子多数の大惨事であった
職員室も騒然となっている
「どうしてこんな事をしたの?」
「むかついたからです」
璃乃はしれっと言った
「む、むかついたからって…」
「じゃあイジメられたからです」
教師は口をつぐんだ
「先生、私がイジメられてるの知ってたくせにずるいですよ
先に攻撃してきたのはアッチです
たまには私もやり返したっていいじゃないですか」
「……暴力はいけません」
璃乃は始末が悪かった
単にキレたわけではなく、暴力が悪になるとわかっていてやっていた
おまけに開き直っていた
「お遊びですお遊び
みんな構ってくれるから
私嬉しくってつい…
ごめんなさい、こんな事になるとは思いませんでした
次からはもっと誰にもわからないよう隠れてやります」
「いけませんよ!」
先生が声を荒げた
まだ20代の若い担任に
璃乃はイラついて言い返す
「だって誰も守ってくれない」
お兄ちゃん以外
先生に相談しても
がっかりするだけだった
「やめてって言ってもやめてくれなかったら私にはもうどうしたらいいかわかりません」
先生までが大多数の味方をしたら誰が助けてくれるのだろう
先生の言い分は正しいが、正しければ全てが救われるわけじゃない
「仕方ないんで戦います
話が通じないんで
イジメられ続ける限り
抵抗します
別に先生に叱られたっていいです
やられたらやり返します
別にいいじゃないですか?
我慢したって意味なかったです
いい事なかったです
あの子たちが調子乗っただけで
むしろひどくなっただけです
もう自分でなんとかします」
おとなしくて頭のいい生徒
それが担任の璃乃のイメージだった
そんなイメージは崩れた
今ここにいるのは
とんでもない問題児だった