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妹えっち!

第8章 コンビニ







 じめっと暑い夜の空気
 なんか、久しぶりに、並んで歩く

 冷たくしてるのは私だから
 当然なんだけど…



「お兄ちゃん…」
「あん?」
「私…カレシできた」



 コンビニまでの道のり
 まとわりつく蒸し暑さを夜風が流してくれる住宅街



 どんな反応するだろう…

 普通の兄なら喜ぶ…のかな?



 普通………でも、私は…



「へーやったじゃん
よかったな、初カレだろ?
ほしかったんだもんな、カレシ」



 妹の幸せを喜ぶ
 それは兄妹の在り方として至極普通の反応に見えた

 ぐるぐると渦巻く
 上手く気持ちがまとまらない



「っ…そーだよ
カッコイイ人でね
私にはもったいない人なんだから
勉強も運動もできて…」
「でも璃乃のほうができる」
「ふぇ?」



 私がカレシを誉めるのと同じようにお兄ちゃんが私を誉める



「こんな小さい頃から
勉強するのが大好きだったんだ
不思議なくらいにな
それに運動だって
男子より遥かにできるね
俺は璃乃の事ならよく知ってる」



 なに?なになに?



「大した事ないよ、そいつ
ホントに釣り合う男?」



 カッとなる
 ひどい侮辱だった

 お兄ちゃんはそんな人を貶めるような事を言う人間じゃない、どうしてそういう事言うのかわからない



「…っ…
勝手に言ってれば?
妹のカレシ掴まえてそれ?
ひどいし、サイテー
お兄ちゃんにはわかんないよ
私カレシの味方だから」
「ははっ、嫌われちまった」



 嫌われたと言いながら
 全然つらそうな顔をしないお兄ちゃんを見て胸が痛んだ



 私は間違ってない…
 なのになんでお兄ちゃんを嫌わなきゃいけないのかわからなかった



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