
私
第5章 二週間前
椅子に座って寛ぎながら、窓の外を見ると激しい雨のせいか、桜の花が殆ど散ってしまっていた。
もう、葉桜だわ。
残念ね。
コト……
ふと見ると、私のところにスープが置かれていた。
「今日は冷えるから、スープでも、と思いまして。」
民江がにこやかに話しかけてきた。
「ありがとう。」
「百合子様
いつも、いつも自分の部屋ばかりでは退屈でしょう、もうパーティーの日が近いんですから、来客用の大部屋へ行ってみてはいかがですか?」
「いいわね、
そうしてみるわ。
もうパーティーの準備はしてあるのかしら?……まだ早いわよね?」
「いいえ、
それが、もうしてあるんですよ。」
民江は珍しく、更に張り切った、弾むような声で 言った。
