
私
第7章 前日
そもそも電話だって形だけで、鳴るわけが無い。百合子様は嫌われているから、誰からも来るわけないし、この電話はただの緊急用であるだけ。鳴っていたのは電話会社がテスト
で鳴らしていただけ。
でも、私はつい意地悪をしてしまう。
掛けたいと言われたときは流石にハラハラしたわ。
誰も来ない家に電話なんてくるわけ無いじゃない。
この家は既に破産しているんだから。
会場を見てすっかり舞い上がっている彼女は可笑しくて、たまらない。
会場に何時間もいては楽しそうに帰ってくる。
たまに会場から変な独り言が聞こえてくるし、よっぽど楽しみなのなのは分かるけど、病んでますよ。
でも彼女に確かめたいことがある。
