
私
第14章 9:00:00
コンコン……
コンコン……
奥から、返事をする声が聞こえてきてはあの女はゆっくりとドアを開けた。
百合子とは違う艶やかなで真っ黒く真っ直ぐなサラサラした腰まである長い髪。切れ長なのに大きな黒い瞳、すっきりとした鼻筋と輪郭、百合子と同じしわ一つない真っ白な肌。
全て私には無い完璧な姿をし、笑顔で出迎えた。
この部屋は一番奥だから一階の惨劇は全く聞こえなかったのであろう。
女はティーポットからお茶を入れては私に差し出した。
この穏やかな空気とは裏腹に私はこの女を殺すタイミングを見計らう。
