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第2章 三年前




戦後の波乱に満ちた世間から見ると私の家は手の届かない金持ちに過ぎなかった。



ましてや、ラジオを聞いたり、ダイヤモンドの針でレコードを鳴らしたり、外車を乗り回しては、留めに家政婦がいる。




恵まれたお嬢様に見えているのだろう。



私は鳥かごのなかの鳥に過ぎないのに。




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