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運命操作

第2章 運命操作?

――そして。

種目と名前が書かれた黒板を眺める。二人三脚の下には、あたしの名前があった。あたしは見事、ジャンケンに勝ったのである。

それでも手放しに喜べないのは、ジャンケンに負けに負け、800メートル走になってしまった楓を思ってか。…いや、それだけじゃない。

400メートル走。そう書かれた下には、“中村茅”とあった。そしてそのさらに下には、“海棠香織”。二人は同じ種目に仲良くご出場というわけである。

それが何なのか、なぜなのか自分でもはっきりとはわからないが、なんだかモヤモヤとしたものが心にあった。

はあ、と大きく息を吐いて筆箱に手を伸ばした時、手元が狂い、筆箱を倒してしまった。慌てて手を前に出すも間に合わず、床にぶつかった瞬間、中のシャーペンやボールペンなどが音を立てて散らばる。

それだけではなかった。さらに悲惨なことに、消しゴムまで飛び出し、転がっていってしまった。

「あーー…」
…やっちゃった。あたしは筆箱を机に置くと、転がっていった方向を追う。

えーと、この辺…。

身を屈めて探すあたしの前に、足が立ち止まった。ゆっくりと見上げると、それは…彼であった。

「中村、くん」
心臓が跳ね上がった。

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