運命操作
第2章 運命操作?
…遠い。あなたの背中。いつの間にこんなに遠くなってしまったのか。
すぐ隣にいたはずなのに。
いつだったか…こんなことも言ってたっけ。
“生と死。あるいは、愛と憎しみ。…日向は、それぞれ全く別のものだと思う?”
突然言った彼に、私は、大したことは答えられなかった。
“えっ?…うーん…どっちも、真逆のものだし…全然違うんじゃない…?”
誰でも言いそうなありきたりの言葉。そっか、と彼は微笑み、それ以上は何も言わなかった。
今、彼の隣にいる海棠香織を見て思う。…彼女は、同じことを聞かれたろうか。どう答えたであろう。彼が彼女を選んだことは、その回答を気に入った証か…。
長い黒髪を左手で耳にかける彼女を見つめ、どこか違和感を覚えつつも、あたしはそのまま席に戻った。
いつもの如く青木からのアプローチを受け流しながら、淡々と教科書を鞄に詰め、先生からの連絡を聞く。机を後ろに運び、今週の掃除当番であるあたしは箒を手に取った。
…視線を感じる。
「日向」
「はいはい」
声をかけられた瞬間、やっぱり、と思いながら慣れたようにあしらう。
「好きだ」
「はいはい」
「付き合ってくれ」
「は……」
そのまま最後まで続けそうになったのを慌てて止め、はあああと大きくため息をつく。
すぐ隣にいたはずなのに。
いつだったか…こんなことも言ってたっけ。
“生と死。あるいは、愛と憎しみ。…日向は、それぞれ全く別のものだと思う?”
突然言った彼に、私は、大したことは答えられなかった。
“えっ?…うーん…どっちも、真逆のものだし…全然違うんじゃない…?”
誰でも言いそうなありきたりの言葉。そっか、と彼は微笑み、それ以上は何も言わなかった。
今、彼の隣にいる海棠香織を見て思う。…彼女は、同じことを聞かれたろうか。どう答えたであろう。彼が彼女を選んだことは、その回答を気に入った証か…。
長い黒髪を左手で耳にかける彼女を見つめ、どこか違和感を覚えつつも、あたしはそのまま席に戻った。
いつもの如く青木からのアプローチを受け流しながら、淡々と教科書を鞄に詰め、先生からの連絡を聞く。机を後ろに運び、今週の掃除当番であるあたしは箒を手に取った。
…視線を感じる。
「日向」
「はいはい」
声をかけられた瞬間、やっぱり、と思いながら慣れたようにあしらう。
「好きだ」
「はいはい」
「付き合ってくれ」
「は……」
そのまま最後まで続けそうになったのを慌てて止め、はあああと大きくため息をつく。