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運命操作

第3章 運命捜査!

かなり激しい。普通に歩いているだけでは出ないような音であった。

どうしたんだろう、と梨花が扉を開けてのぞく。あたしは手を洗いながら、その様子を見ていた。

と、梨花がわずかに顔を強ばらせ、勢い良く出ていった。何かあったのだと悟り、あたしも慌てて追いかける。

「やめろっ!!」
直後、梨花の声。声色が、明らかにただ事ではないことを示していた。

半分開いた引き戸に濡れた手をかけ、廊下へ飛び出した。…と、そこには。

「楓っ…!?」
ほとんど悲鳴に近かった。

廊下の隅でうずくまる楓、そのすぐ近くには男子生徒。あたしが見た時は、楓をかばうように梨花が二人の間に立っていた。あたしは楓に駆け寄り、うつむいたままよろよろと踏み出す楓の肩を支えて、男子生徒から引き離す。

下の階の騒がしい声が、階段に反響している。

「…何があったの?」
ぐったりとした様子の楓に、諭すようにそっと尋ねた。

その男子生徒のことは知っていた。同じ学年で、いわゆる「不良」と呼ばれる生徒。同じクラスになったことはないはずだし、楓との接点はない。

ついさっきまでそこで何が起こっていたのか、大体予想はつく。だが、事の発端は何だったのか。

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