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運命操作

第3章 運命捜査!

「梨花ぁ、頑張れぇええ~!!」
聞こえてるかわからないけど、応援の言葉を必死に叫ぶ。

二位でバトンを受け取った梨花は、全速力で駆け出し、一位との僅差をどんどん埋めてついに抜かし、一位で第三走者にバトンを渡した。

「すごい~!」
楓と顔を見合わせて喜ぶ。

一周なのでそこまで差はつかなかったが、とはいえ次の走者が走りやすい程度には二位を引き離して走り抜いた梨花は、少なくともこの競技では一番の貢献者に違いなかった。

第三、第四走者の男子二人も抜かれず、あたしたちのクラスは一位でゴール。あたしたち一年のスウェーデンリレーは終わり、続けて二年、三年のスウェーデンリレーが行われる。興奮冷めやらぬ中、梨花が戻るのを待ちながら、楓と二年生のリレーを見ていた。

二年生の競技が終わっても、梨花は戻らなかった。労いの言葉などを掛けたかったのだが…。

どうしたんだろうねと話していると、アナウンスがかかる。次の競技の選手は集合するように、という放送であった。

「じゃあ、行ってくるね」
そう言って立ち上がる楓の顔からは、緊張した様子がうかがえた。入場門へ向かう楓の後ろ姿を、あたしは一人で見送った。

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