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運命操作

第4章 運命を操る魔女

「正論ほど心に響かないものはないな」
いかにも退屈そうな声で、言い放たれた。

「な……」
至極当然の返答をしたはずが、それに対する反応は予想外のものであった。姿すら見せない人に“心に響かない”とまで言われ、あたしは絶句する。

「まぁ誰もがそうだったな、最初は。よくある教科書通りの言葉を並べ立て、心を偽る。…そんなものに共感なんて誰ができる?俺はそんなつまらない解答が聞きたいわけじゃない」

「だが、最初はそうでも、心をごまかすカラクリを紐解けば、大抵は本心を表す――お前はどうだ?本心が聞きたい」

「誤魔化してなんてない!」
あたしの心を決めつけた言い方に、あたしはつい声を荒げた。

「嘘だな。こんな風に身勝手に運命をねじ曲げたやつを、心の底では殺したいほど憎んでるはずだ」

「だから、そんなことないって言ってるでしょ!それが本心だってば!!」
あたしは憤慨し、真っ白な空間を睨み付けながら怒鳴った。

「ふうん、中村茅へのお前の想いは、その程度なのか」

「違う!どんなに好きな人を、どんな方法で奪われたからとしても、どんなに憎い相手でも。あたしは絶対そんなことしない!」

いったい何者なの、この人は。何がしたいの。あたしに何をさせたいの?

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