運命操作
第5章 捨てきれぬ想いとトラブルの火種
「できた…」
思わず彼の顔を見た。
「おめでとう」
穏やかに笑む彼。あたしがはっと、目をそらすようにまた下を向き、感謝の言葉を告げると、彼は、どういたしまして、と言った。
「いつも部活の後、ここで誰かを待ってるよね」
「あ、うん。梨花を待ってるの。大抵、少し待てばテニス部も終わるから。テニス部の方が早い時もあるけど」
「そうなんだ。…じゃ、帰るね」
「うん。今日はありがとう」
また明日ね、と手を振ると、彼も軽く手を上げて部屋を出ていった。
ああ、やっぱり好きだなぁなんて思いながら、彼の出ていった扉をいつまでも見つめていた。
それから暫く経ったある日、楓が暗い顔で登校してきた。最近では珍しく、一人だった。昼休みもクラスから出ていく気配はなく、梨花とあたしは顔を見合わせる。
「楓…どうしたの?行かなくていいの?」
遠慮がちに聞くと、楓の表情はさらに曇る。
「彼…今日休みなの」
楓が言った。
「何かあったの?」
と梨花。
「…わからないの。ただ、ちょっとヤバそうだから今日は休むって…」
楓は心配そうに俯いた。手を組み、絡ませた指をくるくると不安げに動かしていた。
思わず彼の顔を見た。
「おめでとう」
穏やかに笑む彼。あたしがはっと、目をそらすようにまた下を向き、感謝の言葉を告げると、彼は、どういたしまして、と言った。
「いつも部活の後、ここで誰かを待ってるよね」
「あ、うん。梨花を待ってるの。大抵、少し待てばテニス部も終わるから。テニス部の方が早い時もあるけど」
「そうなんだ。…じゃ、帰るね」
「うん。今日はありがとう」
また明日ね、と手を振ると、彼も軽く手を上げて部屋を出ていった。
ああ、やっぱり好きだなぁなんて思いながら、彼の出ていった扉をいつまでも見つめていた。
それから暫く経ったある日、楓が暗い顔で登校してきた。最近では珍しく、一人だった。昼休みもクラスから出ていく気配はなく、梨花とあたしは顔を見合わせる。
「楓…どうしたの?行かなくていいの?」
遠慮がちに聞くと、楓の表情はさらに曇る。
「彼…今日休みなの」
楓が言った。
「何かあったの?」
と梨花。
「…わからないの。ただ、ちょっとヤバそうだから今日は休むって…」
楓は心配そうに俯いた。手を組み、絡ませた指をくるくると不安げに動かしていた。