運命操作
第5章 捨てきれぬ想いとトラブルの火種
楓が運ばれたという市民病院の前。車から降り、診察を終え帰っていく人たちをかわし、出入口の自動ドアを抜ける。
…あたしのせいかもしれない。あたしの嘘が下手で、バレたのかも。
そんな風に自分を責めながら、受付に飛び付く。病院内では走らないでくださいね、と苦い顔で注意され、冷静さを少し取り戻して頭を下げた。続いて、あの、と口を開いた時、後ろから声をかけられる。
「…なずな」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこには梨花と――頬に大きなガーゼを当てた楓が立っていた。
「楓!?大丈夫なの…っ?」
今、あたしは多分、血の気の引いたものすごい形相をしている。
「…うん。“私は”大丈夫」
楓はあたしを安心させようとしたのか一瞬力なく笑もうとして、その笑みが崩れるように消え、俯いた。
「え……?」
どういうこと、といったあたしの顔を向けると、その心理を察したのか、代わりに梨花が口を開く。
「楓じゃなかったんだ。搬送されたのは」
暗い顔の楓を気遣いながら、梨花が説明してくれた。
…あたしのせいかもしれない。あたしの嘘が下手で、バレたのかも。
そんな風に自分を責めながら、受付に飛び付く。病院内では走らないでくださいね、と苦い顔で注意され、冷静さを少し取り戻して頭を下げた。続いて、あの、と口を開いた時、後ろから声をかけられる。
「…なずな」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこには梨花と――頬に大きなガーゼを当てた楓が立っていた。
「楓!?大丈夫なの…っ?」
今、あたしは多分、血の気の引いたものすごい形相をしている。
「…うん。“私は”大丈夫」
楓はあたしを安心させようとしたのか一瞬力なく笑もうとして、その笑みが崩れるように消え、俯いた。
「え……?」
どういうこと、といったあたしの顔を向けると、その心理を察したのか、代わりに梨花が口を開く。
「楓じゃなかったんだ。搬送されたのは」
暗い顔の楓を気遣いながら、梨花が説明してくれた。