運命操作
第1章 そして物語は動き出す
妖しい魅力、というのか。そんなところが、魔女を思わせる。…あたしには、ね。
「おはよう」
歩いてくる彼女を見ていたら目が合い、向こうから挨拶をされた。特に訝しむこともなく微笑を浮かべる彼女に、わずかに気まずさを感じる。
「…おはよう」
あたしも返し、手洗い場を譲る。手を洗う彼女から、なんとなく目が離せずにいた。
「なに?」
あたしの視線に気づいていたのか、彼女は蛇口を閉め、振り向かずに言った。
「いや…別に…」
ハンカチをしまうと、彼女の泣きぼくろがこちらを見た。だがそのまま視線を外し、彼女はトイレを出ていく。
鞄を持ったあたしを、変に思ったかもしれない。
まあいいや、とあたしもトイレを出る。完全に油断していた。
「日向っ!」
「うわ!!」
「好きだ!一週間でいい、俺と付き合っ」
「ごめん、もうチャイム鳴るから!!」
あたしは遮るようにそう言い、教室へ走る。
「日向ぁあっ!!」
授業中、視線を感じて横を見ると、青木がガン見していた。青木が口を動かす。
好、き、だ――…慌てて目を反らした。絶対に青木を見ないように、視界にすら入れないように授業をやり過ごす。
と、鐘が鳴り、休み時間。
「日向っ!好きだ!」
逃げた。
「おはよう」
歩いてくる彼女を見ていたら目が合い、向こうから挨拶をされた。特に訝しむこともなく微笑を浮かべる彼女に、わずかに気まずさを感じる。
「…おはよう」
あたしも返し、手洗い場を譲る。手を洗う彼女から、なんとなく目が離せずにいた。
「なに?」
あたしの視線に気づいていたのか、彼女は蛇口を閉め、振り向かずに言った。
「いや…別に…」
ハンカチをしまうと、彼女の泣きぼくろがこちらを見た。だがそのまま視線を外し、彼女はトイレを出ていく。
鞄を持ったあたしを、変に思ったかもしれない。
まあいいや、とあたしもトイレを出る。完全に油断していた。
「日向っ!」
「うわ!!」
「好きだ!一週間でいい、俺と付き合っ」
「ごめん、もうチャイム鳴るから!!」
あたしは遮るようにそう言い、教室へ走る。
「日向ぁあっ!!」
授業中、視線を感じて横を見ると、青木がガン見していた。青木が口を動かす。
好、き、だ――…慌てて目を反らした。絶対に青木を見ないように、視界にすら入れないように授業をやり過ごす。
と、鐘が鳴り、休み時間。
「日向っ!好きだ!」
逃げた。