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運命操作

第1章 そして物語は動き出す

昼休み。友人たちと弁当を広げた時、背後に気配を感じる。振り向くと、青木。

「好きだ!」


体育の後。教室に戻ってくるなり、

「好きだ!」


掃除中。あたしがほうきで掃く横で、

「好きだ!」


放課後。鞄に教科書をしまっていると、

「好」

「さて帰ろっかな~!!」


お分かり頂けたであろうか。あたしは、こんな逃げ回る毎日を繰り返している。毎日である。

最初からこんな態度だったわけではなく、はっきり言わないと、いや、はっきり言ってもグイグイくる青木に対応するうち、こうなってしまったのである。


「結構いいと思うけどな~、青木遥」
青木をかわし、学校からの帰途。友人の一人、梨花が言った。対し、もう一人の友人、楓が横でうなずく。挟まれたあたしは、苦い顔である。

「そこそこ人気あるしね、彼」
楓も、のほほんとそんなことを言う。

「そういう問題じゃないんだってー」

「…好きなんだよね、あの人が」
と楓。

「中村?」
梨花の口からその名前が飛び出した時、心がズキ、と痛んだ。

二人が付き合っていると知ってから大分経つ今も、あたしは思いっきりこの恋に未練タラタラであった。名前を聞くのさえつらい。

あたしが無言でいると、その心を悟ったように、梨花も楓も押し黙る。

「…でも、だったらなおさら、彼と付き合ってみてもいいと思うけどな」
呟くように、楓が言った。

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